オイシイファーム、米国でAIやロボット活用の植物工場「メガファーム」稼働

オイシイファームが米国で稼働を開始した植物工場「メガファーム」
オイシイファームが米国で稼働を開始した植物工場「メガファーム」

米国で受粉作物の植物工場を展開するスタートアップのオイシイファームコーポレーション(ニュージャージー州)は6月4日、米国ニュージャージー州で、世界最大級という植物工場「メガファーム」の稼働を開始したと発表した。

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施設内の農場ユニット

「メガファーム」は、敷地面積がサッカーコート3面分以上に相当する2.2万m2で、施設中に、複数のいちごの農場ユニットを設置。ユニット内で、温度、湿度、二酸化炭素、光、風速などのパラメーターを自動制御し、いちごの成長に最適な環境をつくり出す一方、AI(人工知能)を活用した独自技術を使い、室内でハチによる受粉を行うことで、年間を通じて高品質な日本のいちごを生産する。

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データを取得しながら、ロボットがいちごの管理や収穫を行う

ユニット内では、ロボットが24時間で、いちごの成長を見守りながら、完熟したタイミングで自動収穫する。また、画像認識技術とAIで、年間600億のデータを取得し、ユニット内の環境を日々把握と調整して、受粉成功率や収穫量の予測精度を向上させる。

加えて、250ある、いちごの栽培棚を可動式にすることで、農業管理者やロボットが効率的にオペレーションできる環境を構築。製造工程で生産性を向上する取り組みによって、これまでのいちご農場よりも、20倍の収獲量を目指す。

完全閉鎖型の植物工場で、外の気候に左右されることなく、一年中安定していちごを生産することが可能。また、害虫や菌の侵入を防ぐことで、完全無農薬での栽培を行える。施設は旧プラスチック工場を再利用して建設。数億円を投じて開発した新たな水の循環システムを導入し、使用した水の大半の再利用を可能にした。

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工場に隣接する太陽光発電所の電力で稼働

工場は、隣接して建築した、東京ドーム約5個分に相当する20万m2の太陽光発電所で作られたグリーンエネルギーを利用して稼働。いちご一株あたりの消費電力を14%削減する最先端のLEDも活用することで、電力消費を抑えた。

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メガファームで生産した日本のいちご

オイシイファームコーポレーションでは、現状で全米の需要を満たすいちごの生産量を確保できていないことから、今回のメガファームの稼働を通じて生産量を飛躍的に向上。ホールフーズ・マーケットなどの小売業の取引先を通じて、東海岸での販売地域を拡大する考え。また、メガファーム周辺地域での雇用を拡大。これまでエンジニア、農場担当者、施設管理者など100名以上を採用しているが、人材をさらに増やす計画。