伊藤忠、ドローンを使った血液製剤の輸送実証

実証実験で使用したドローン「Wingcopter198」

伊藤忠商事は5月25日、日本初という、ドローンを使用して血液製剤を輸送する医学的検証の実証実験を、「ドローンフィールドKAWACHI」(茨城県稲敷郡)で実施したと発表した。

実証は、伊藤忠が2022年3月に資本業務提携と販売代理店契約を締結した、ドイツのウィングコプター製のドローンを使用。東京都立墨東病院を共同研究者、ANAホールディングス(HD)を共同運航者として実施した。

具体的には、ウィングコプターの新型eVTOL(電動垂直離着陸機)型ドローン「Wingcopter198」を使って、遠隔地への血液輸送を想定した長距離・長時間飛行を複数回計画し行った。

厳密な温度管理が求められる血液製剤を格納するドローン用保冷容器は、医療向け定温輸送容器の製造・販売するスギヤマゲンが提供した。また、2種類の血液製剤を調達した墨東病院から実証実験を行った、ドローンフィールドまでの往復で血液製剤の輸送容器と輸送には東邦ホールディングス、セルートが協力した。

今回の実証実験で対象にした血液は、性質上、輸送で緊急性と定時制の両面が求められ、その物流を支えるインフラや人員の確保、血液の安定供給と品質維持が大きな課題となっているという。

そこで、伊藤忠では、今回の実証実験で関係者の医学監修・協力を得て、現場での運用を見据えた実践的な手法・機材を使用した輸送フローを検証したことを背景に、ドローンが血液製剤輸送の有効な物流手段の1つになることをアピールしていくという。