産業技術総合研究所は1月15日、橋梁点検などを手掛けるCORE技術研究所と、ドローン空撮で橋梁インフラのたわみ計測法を開発したと発表した。
今回、規則性模様を持つ基準マーカーを導入し、そのマーカー模様の位相情報を活用した人間のバランス感覚に近い高精度な画像ぶれ補正技術を開発した。
具体的には、画像ぶれを高精度で補正するために、橋梁の中央側面に設置した測定マーカーに加え、新たに2つの基準マーカーを導入。橋脚上の不動点となる橋梁側面にこれらの基準マーカーを設置し、2つのマーカーを結ぶ1本の基準線が橋梁の変形前後で一致するように100分の1画素の精度で画像ぶれを補正する。
その後、橋梁の変形前後の測定マーカーに対し、規則模様画像にぶれ補正を行った後に、サンプリングモアレ法を使って画像から生成されるモアレ縞の位相変化から微小変位を算出。
その結果、現状で老朽化した橋梁の健全性を評価する一手法で利用されている変位センサーと変わらない、ドローン空撮で橋梁の健全性評価に必要なミリメートルオーダーの橋梁の微小なたわみ計測に成功した。
また、ドローン空撮画像を位相解析することで、従来の10倍以上の精度で画像ぶれ補正を実現した。産総研によると、ドローンなどの空撮では画像ぶれの発生などで、ミリメートルオーダーのたわみ計測が困難だった。
産総研では民間企業が今回の技術を活用した橋梁点検サービスを事業化しており、今後は全国の橋梁で適用されることを見込んでいる。一方で、技術をさらに発展させ、社会インフラの長期モニタリング技術の開発やクラウドシステムを活用した自動解析の研究開発を実施していく予定。将来的にはドローンが自律飛行して行う計測サービスの実現を目指すとしている。